家族はつらいよ : Akira's VOICE

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すべての世代が楽しめる貴重な映画！

山田洋次監督の85作目。
「男はつらいよ寅次郎紅の花」以来21年ぶりの喜劇映画。

「東京家族」(2013)と同じキャストで熟年夫婦の離婚騒動を賑やかに描く。

「ノリコの「ノリ」は憲法のです」
と説明した時点で結末の察しがついた。

平田家の飼い犬トトだけが悠々自適。

王道の展開をまっすぐに進んでいく。
脇道など無い。
それなのになかなかの面白さ。

間延びが無い。
テンポが良い。
軽妙。

息のあった俳優陣のアンサンブルが心地よくて安心感満点。

ゆったりと画面に身を任せてホームドラマを満喫できた。

ある日突然に離婚届を突き出される平田周造を演じる橋爪功がうまい。
品が無くてガサツでマイペース。
でも憎めないおじいちゃんをすらすらとした足取りで好演。

平田家の長男、幸之助の西村雅彦も可笑しかったなあ。

史枝（夏川結衣）さんのため息が同情を誘う。

孫は怒られても応えない現代っ子。飄々としているようで優しい側面も見え隠れ。

成子（中嶋朋子）と泰蔵（林家正蔵）はなんだか気になる行く末。

庄太（妻夫木聡）と憲子（蒼井優）は末長く微笑ましく仲睦まじくいてね。

味わい深い人物が勢ぞろい。

彼らの会話を眺めているだけで愉快。

今では珍しい光景となった三世代同居の家族に訪れた悲喜こもごも。
そこから浮かび上がる話し合いの重要性と、想像力を持つことが自分の世界を広げて問題解決あるいは相手への理解につながるというメッセージ。

戸建て住宅地の高齢化問題をさらりと背景に置き、『家族』というものは煩わしく鬱陶しいものだと認めた上での人間関係を、愛情をもって見つめてゆく山田洋次監督の眼差しが厳しくもあたたかい。

監督は「東京家族」の配役にしっくりきたのでしょうね。
それで引き続き集まりたかったのだと思う。

平田家の面々のハマり具合が絶妙。

ぜひシリーズ化してほしい。

「男はつらいよ」にならって48作！
は、無理にしても三部作くらいにはなりそう。

富子さんが作家デビューして受賞しちゃったりして。
わりと素直な周造さんはすっかり好々爺に。
そのぶん幸之助＆史枝に離婚危機みたいな話になると予想しとこ。

監督：山田洋次

出演：橋爪功、吉行和子、
　　　妻夫木聡、蒼井優、
　　　西村雅彦、夏川結衣、
　　　中嶋朋子、林家正蔵、
　　　風吹ジュン、
　　　笹野高史、
　　　小林稔侍、
　　　笑福亭鶴瓶ほか

上映時間：１０８分

・「家族はつらいよ2」(2017)

・「妻よ薔薇のように　家族はつらいよ III」(2018)